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2015 12.20

イルミネーションは、手の届く小さな星だ。

星の見えない街に育った。


もう数十年前にもなるけれど、住んでいた小さなアパートから橋を渡るとそこは大きな都会の街で、

大人の女と男たちが香水とウィスキーの香りを漂わせながら薔薇の柄の紙袋を自慢げに腕に歩く向こうを自動車のライトが交差する きらびやかな夜の街で、

排気口から立ち上る時にむせかえるような煙が漂う都会の空には星なんか見えなくて、

だから自分にとって星はいつも、いつの夜も、すこしばかり遠くに見える有楽町あたりのネオンのきらめきだった。

そんな毎日だったから、夏に父の渓流釣りを兼ねて静養にいく尾瀬の夜空が本当に楽しみで、

ぽかんと口を開けて夜空を見上げていた小さな子供だった自分を、今でもよく覚えている。


街のネオンも、夜空のきらめきも、

自分には今でも横並びの、美しい星だ。


イルミネーションの中を泳ぐように歩くと、まるでSF映画の宇宙船になったようで

だから私は今日もぽかんと開けた口から白い息を吐きながら、手の届く小さな星を探しに冬の街に出るのです。